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JANUARY 1, 2007 (1/16/2007 更新)
"Job well done!"「お疲れさま!」の解説です。
(当たり前でもあるかとは思いますが、私は作品の裏話や生い立ちを知ると、作品にさらなる興味を覚えます。もちろんその作家自身を知る事によっても、作品の見え方が変ったり、作品に対する感心が深まります。この様に作品の解説に興味がある方がおられるかもしれないと思い、今回の作品について一筆(?)書いてみることにしました。
第一印象が私の解説と違ったとしても、それは間違いなどではありません。作品を見て何を感じて何を思うかは十人十色であります。作り手はこう思っていたけれど、私はこう感じたというところから、作品を通しての会話のキャッチボールが始まるのもまたアートに触れるという楽しみではないでしょうか。)
毎年12月25日には、サンタクロースが世界中の子供達にプレゼントを届けます。「お疲れさま!」はサンタが日本風の茶屋で一服するという場面ですが、この一休みがプレゼントの配達前なのか、途中なのか、配達後なのかは、ご想像にお任せしたいと思います。
この作品は、日本ーアメリカ間の空の旅からインスピレーションを受けました。またサンタに会うという設定は、お金では買えない素敵な出会いが出来たという私の2006年の体験に基づいています。(あとは大厄だったので、それなりの年でした...。)
作品に登場する物事について、箇条書きにしてみました。
1. 飲み物サービスステーション(茶屋):茶屋という設定は、日本ーアメリカ間の機内サービスから発想です。長旅の間に何回も「ティー オア コーヒー?(Tea or coffee?)」というフレーズを耳にします。機内サービスがどんどんと簡素化されてゆく中、せめてコーヒーとお茶の無料サービスは続いて欲しいなと思いました。今ではお酒も有料になってしまい、お酒の飲めない私にはうるさくてくさい酔っ払いが減るので有難いのですが、他人に迷惑を掛けない愛酒家の方々には残念なことだと思います。せっかくだからお料理用にと持って帰った、エコノミーの全員にもワインの小瓶が出された頃が懐かしいです。
最近出た機内の飲み物サービスと言えば:
コーラ:炭酸飲料の代表です。が、たまに「コーラお願いします。」という客に対して「ペプシでも宜しいですか?」という返事がくる航空会社もあります。どこだったか覚えていませんが。
エビアン水:最近利用したフライトでは氷水がピッチャーに入っていて、コップにその場で注ぐというものでした。ボトル入りも出た様な気がしますが、銘柄を覚えていないのでボトルウォーターで最初に有名になったエビアンを作品に取り入れてみました。
ミニッツメイドオレンジジュース:黒いラベルが見えたので、トロピカーナではなかったと思います。アメリカにはドールもありますが、ミニッツメイドのジュースがよく売られています。私は絞り立てのフレッシュオレンジジュースのファンですが、ファーストクラスならでるのかしら?(...)
緑茶:英語だとグリーンティー(green tea)ですね。アメリカでは一般に、煎茶でも番茶でも抹茶でも、みなグリーンティーで通されてしまいます。
コーヒー:一番最近に搭乗した飛行機では、「美味しい」コーヒーが出なくてがっかりでした。どこかの航空会社ではスターバックスがでたと思いますし、私の記憶では少なくても日本からアメリカに飛ぶ時には、日本の美味しいコーヒーがいつも出ていたと思うのですが...。
ミスターピーナッツ:アメリカ発の機内にてプランターズ会社のナッツが今まで飲み物に付いてくるおつまみに出されていたかは覚えていません。。。が、アメリカのピーナッツというとミスターピーナッツというプランターズのキャラクターがすぐ頭に浮かびます。この冬にはプランターズのナッツセットをもらったので、なおのことです。しかし、このおつまみのサービスも今では有料、またはなくなってしまったところが多々あるようで、空想のキャラクターであるミスターピーナッツと同じに、機内おつまみピーナッツもやがて実在しなくなるのかもしれません。という思いも込めて、ミスターピーナッツの置き物が茶屋に飾られています。
[親戚に、ピーナッツが機内から消えたのはピーナッツアレルギーが増えた為だろうとご意見を頂きました。なるほど。アメリカはピーナッツアレルギーの人が沢山いまして、食料品のパッケージにも「この食品にはピーナッツを使用している工場で製造されました」と注意書きがあるほどです。また、プランターズは2006年に100年記念を迎えたそうです。そして先日2004年トム・ハンクス主演映画「ターミナル」をテレビで観ていたところ、何とトムハンクス演じる主人公が、このプランターズの古いナッツの缶を大切そうに肌身離さず抱えているではありませんか。何だか運命を感じてしまいました。笑)1/16]
キャンディーケイン:白と赤とピンクのねじり模様のステッキは、クリスマスの代表的なハッカの飴のお菓子です。ミスターピーナッツは山高帽にステッキを持っているので、このステッキをキャンディーケインに取り替えてみました。
機内サービスが楽しみだった、空の旅自体が純粋に楽しめた時代は、悲しくも終わろうとしているのかもしれません。国際平和が傾いてゆく近代において、様々な面で空の旅のあり方に変化が生じています。新年は我々がもっと平和に向かってそれぞれが行動をとれる、そんな年にあって欲しいと思います。
ロサンジンの急須(緑茶用):北大路魯山人(1883-1959)日本の陶芸作家の中でも個性的な一人です。彼の名言「人は独りで生まれたら、独りで死に、独りで来たら独りで去る。独りで学び、独りで歩く。(日本語の原文は分かりません。)」は画家として格好良く耳に響きます。「器は料理の着物」と語ったグルメな陶人魯山人。2006年には私も苦手な料理を頑張ろうとレシピブログを作ってみました。(魯山人について)
[友人から先日、この急須は魯山人にしてはおとなしい作風ですねとコメントを頂きました。申し忘れておりました。個性的と説明しつつ、この作品に登場している急須はまさに魯山人にしてはと申しますか、おとなしい作風のものであります。1/16]
火鉢:サンディエゴでは暖房がなくても冬が越せます。と言いつつ、今年はすでに数夜暖房をつけてしまいました。またサンディエゴといえども地形柄、場所に寄っても気温が異なるので、一概に暖房なしでもOKとは言えないかもしれません。がしかし、東京やアメリカ中西部に比べると、暖かい冬です。ちなみにサンディエゴ人は、良い気候をお金で買っていると言われています。(アメリカにしては物価が高く、特に中西部に比べるとサービスの悪さや量の少なさも気になります。)
おしぼり:サンタが握っているのはおしぼりです。日本だとレストランで氷水とおしぼりが自動的に出てくるとことが多いですが、アメリカではそうではないので、機内のおしぼりサービスに日本のサービスを思いました。
2.コカコーラとサンタ:アメリカでは過去にコカコーラ会社がサンタクロースを冬の宣伝キャラクターとして使用したことから、サンタの服が赤と白なのはコカコーラのカラーだからだという伝説が生まれたそうです。紅白と言えば、日本ではおめでたい色ですよね。偶然かしら?近年では、コカコーラの宣伝はシロクマ親子がしています。
3.ヘルシー思考なサンタ:2006年は肥満や成人病などについての数々のニュースを耳にしました。ニューヨークのレストランでは、トランスファット脂肪の使用が禁止になるくらいのヘルシーブームぶりです。外食、スナック、インスタント、コンピューターの浸透、動かない現代の子供達の将来を危ぶんで、アメリカでは食生活の見直しがされています。私自身ダイエットをしまして、8キロ痩せました。ということで、コーラのような糖分たっぷりなジュース(100%果汁ドリンクですら、糖分は結構入っているので)ではなく、サンタが緑茶を飲むという設定には自然と辿り着きました。何と言ってもヘルシーな飲み物です。(カフェインが強いですが、それはまだ配達をするまたは北極へ帰宅するのに起きていないとならないサンタですから良しとしましょう。)
4.サンタ・クロース:絵の中のサンタはよくみると置き物です。「サンタって実在するの?」世界中の子供達にプレゼントを配るサンタが実在するとしたら、彼の動きは速過ぎてわれわれの目にはとまらないのではないでしょうか?そんな我々にも彼の姿が見られるよう、時間を止めて=像になったと言う訳です。
5.滑走路:舞台は門前茶屋風な場所ということで、鳥居の柱が杉の横にありその下には石畳みが敷かれている参道であります。それと滑走路(サンタ、機内サービス)を掛けてみました。
6.トナカイの交通標識:中西部などで沢山見掛けたのですが、鹿の住む場所には鹿の絵の付いた標識が至る所にあります。サンタがいるということで、トナカイの標識がここには掛かっているのであります。
7.金箔の背景:西洋でも東洋でも、歴史的に金箔画というのは空想や伝説、極楽などの世界を表現するのに用いられてきました。日本ではこの金箔画は宗教画のみならず、世俗画にも古くから用いられています。幻想的な絵とは、例えば四季が一つの絵の中で全部表現されている、一つの物語の違う場面が同じ人物が繰り返し描かれることによって一枚の絵の中で表現されている、伝説の動物、そして仏教画等。金箔で描かれた世界には、時間と空間が我々の観念を越えて存在しているのです。(この考え方を私は自分の絵の世界に普段から取り入れています。)サンタが日本娘に出会い緑茶を飲むという光景が、金箔の世界だと可能であるという作品なのであります。
2006-2007冬のホリデーアートをお楽しみ頂けたでしょうか?
それでは、どうぞ良い新年をお迎え下さい。
磯村 藤子
私の作品のHPは
(最後に、アートには関係ないのですが、sdkc (San Diego Kantan Cooking) のハンドルネームでレシピブログもやっています。良かったら遊びに(励ましに)いらして下さい。http://sdkc.blog57.fc2.com)